人は加齢に伴って食生活が変化してくるものです。咀嚼力が低下すると硬いものを食べるのが難しくなります。少なからず食生活が制限されてくるので、栄養バランスにも影響が出ることも。また、胃腸機能が低下し、栄養素を効率よく吸収するのが難しくなります。それにより栄養不足のリスクが高まり、不健康や不調の要因になるのです。高齢者の介護では食のバランスを考え、楽しい食生活を実現する必要があります。
一般的に、高齢になると食は細くなっていくもの。特に歯の本数が減ってくると、食べる楽しみが失われていきます。咀嚼力を復活させるためには、入れ歯やブリッジなどが役立ちますが、近年はインプラント治療も積極的に行われています。歯が健康になれば食べられるものが増えるし、栄養をムダなく吸収できるようになるのです。人間の身体は食べ物からできているため、食べることは生きることであり、健康な食生活が健康生活につながると言えます。
高齢者が食に関心を示さないときは、運動不足が関係しているケースがあります。ベッドで過ごす時間が長くなると、必然的に運動不足になって食欲が減退してくることが多いのです。こうした場合はできる範囲での運動を実行し、空腹感を誘発することが必要。高齢者は、人から食べさせてもらうよりも、自発的に食べたいと考えています。食を楽しいものだと再認識するようになれば、食事量が増えて栄養素の摂取量も増えるでしょう。楽しい食生活は健康を維持するだけでなく、メンタルの安定にも役立つと言われています。